2019年8月


◆◆  新領域創成科学研究科
◆◆◆  自然環境学専攻  吉澤晋准教授
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とある朝、ラボに向かってテクテク歩いている最中に、ふと自分の得意なことは何だろうと考えてみた。高校生の頃は数学がそれなりにできた気もするが、研究業界では平均以下な気もする、果たして自分は何が得意なのだろうか。色々考えてみたが、「ルールの分からないスポーツを見て、ルールを想像すること」が昔から得意(好き)な気がする。果たして、何が得意なのだろう?思うに、適当な仮説を山のように考えるのが得意なのだろう。例えばサッカーを見ていて、ある特定の人のみが手を使えるという仮説はすぐに思いつく。四角い場所にボールが入ると1点カウントされ、真ん中にボールを置いて再開するのも、点数が入れば簡単にルールを想像できる。オフサイドはどうだろうか?オフサイドを理解するにはかなりの数の仮説を立て、それを検証する必要がありそうだ。とにかく目にした情報に対して適当な仮説を立て、ふんわりと検証する、これをゲーム感覚でするのが昔から好きだった。誰に聞いてもらうでもなく、誰かに答えを求めるでもなく、暇つぶしにやっていたのだと思うが、子供時代というのは時間があるものだ。ただ、仮説を立てるにはある事象に注目し、気になる点を見出す必要がある。おそらく仮説遊びをしているうちに、「問いを立てる力」も同時に養われたのではなかろうか。欽ちゃんの名言に「聞いちゃダメ」というのがあるが、まさに問いを見つけて、仮説を立てるのが最も面白いところなのに、何が問題ですか?と聞いたらその問いの面白さは半分も伝わらないだろう。子供の頃の暇つぶしではあるが、“仮説遊び”の経験は今の仕事にも活かされていそうだ。