◆
◆◆ 複雑理工学専攻
◆◆◆ 高瀬雄一教授
◆◆◆◆
本研究科の修了生ならびに在学生の皆さんには、これまで経験したことがない事へのチャレンジを常にし続けていただきたいと思います。私も定年退職まであと2年余りとなり、人生は長いようで短いものだということを実感しています。自身の過去を振り返ってみると、環境の変化や新しい事への挑戦が成長のきっかけとなり、新しい道が開かれることが多かったと感じます。以下にその一例を紹介します。子供の頃より父の仕事の関係上引っ越しが多く、そのたびに新たな環境に置かれ、新しい体験をしました。小6の時、父の転勤でマニラで暮らす事になり、現地の小学校に編入しました。もちろん英語もタガログ語も全くできませんが、幸い授業は英語だったので、2年間の滞在中英語は何とかできるようになりました。これがその後の人生の選択に大きな影響を与えることになりました。中2になるとき、私は日本の教育を受けるため一人で日本に帰され、寮のある中高一貫校に編入しました。この学校は国際教育を重視する学校で、当時では珍しく研修旅行でアメリカに2週間ホームステイすることになっていました。その後アメリカの高校に1年間留学することにもなり、日本とアメリカの社会や教育の違いを知ることになりました。父の強い要望で高校卒業後はアメリカではなく日本の大学に入りましたが、卒業後はアメリカの大学院に行き、その後も研究者として通算19年間ボストンで生活しました。その間、自分の研究や二人の息子たちの成長とともに多くの事を学びました。マニラでの生活を経験していなければ恐らく違う人生を歩んだことと思います。日本に帰ってきて早くも20年を超えてしまいましたが、日本人は世界の中で何をすべきかと考えながら、将来のエネルギー源として期待される核融合の研究を行い、若手研究者の育成に尽力しています。皆さんもせっかく多様な分野の人々が集まっている新領域でよい経験をされてきたことと思いますので、今後も是非いろいろな経験、いろいろな挑戦をし続けることにより、人生の選択肢を広げ、更なる飛躍のきっかけにされることを願っています。