こんにちは。創域会事務局です。パラリンピックを観戦していて、どうしても読み返したくなり「リアル」を大人買いしてしまいました。(個人的にはスラムダンクより好きです。) 読書の秋ですね。
◇ 9月のコラムは
◇◇ 複雑理工学専攻
◇◇◇ 佐藤直木助教です
超光速航法を実現する理論の進展
スターウォーズの世界では宇宙船で遠い惑星系までひとっ飛びで行ってしまう。これは映画の世界でしか登場しない夢の技術と考えている人が多いのではないだろうか。近年、この夢の技術を実現する「超光速移動」の理論に大きな進展があった。
そもそも、アインシュタインの構築した一般相対性理論によると、物質の速度は光の速度を超えることはできない。光速が最高速度となると到達可能な惑星は大きく制限され、太陽の次に近い恒星のアルファセンタウリですら4.37光年離れている。つまり、あらゆる惑星系へ行きたいと思ったら光の速度を超える速度での移動、つまり超光速移動が必要になるのだ。一般相対性理論の範囲内で超光速移動を実現しようとすると、①ワームホールと②ワープドライブの二つの方法が主に考えられる。ワームホールとは、空間そのものを曲げて穴を開けることで、通常であれば遠い2地点をつなぐ方法である。ワープドライブとは、時空間のバブルを作り、そのバブルの中に物質を入れて移動させる方法である。空間であるバブルは光速を超えられないという制限を受けないため超光速移動が可能になる。このワープドライブは、理論解を最初に発見したAlcubierre博士の名前を取ってAlcubierre driveと呼ばれている。
これまでに発見されていた理論解では、二つの超光速航法はどちらも宇宙に存在するエネルギー全てに当たる膨大な「負」のエネルギーが必要となる(負のエネルギーが存在すると、リンゴが木から落ちずに地面から木に戻る)。この負のエネルギーはカシミール効果という非常に特別な場合でのみしか発見されておらず、現実世界で大量の負のエネルギーを得るのは難しく、超光速移動を実現するのは理論上もほぼ不可能と考えられていた。しかし、近年、ワープドライブの理論解が新たに発見された。その新たな理論解では、正のエネルギー、かつ太陽1つ分程度のエネルギーでワープドライブを実現することができる。大量の負のエネルギーが必要という一つの障壁を超えたのだ。
異なる惑星系への到達はまだまだ遠い未来ではあるものの、理論の世界では着実に一歩一歩実現に向けて研究が進んでいる。そして、この超光速移動の実現はゆくゆくはタイムトラベルの実現へとつながる夢のある話でもあることを最後に付け加えておきたい。
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リレーコラム、次回は先端生命学専攻 鈴木雅京准教授です。
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令和3年度の創域会大会を開催いたします。
恒例の特別講演では、2013年サステイナビリティ学教育プログラム修士課程修了、
WOTA(株) 山田諒氏をお迎えいたします。
沢山の方のご参加をお待ち申し上げます。
日時 :10月23日 土曜日
17:00 創域会総会
17:30 特別講演会
場所 :zoom
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1. 新領域創成科学研究科からのニュース
(a) 世界初、有機半導体で「絶縁体―金属転移」を実証
-わずか1分子の厚さに電荷を閉じ込めた有機二次元ホールガスを実現
(b) 佐藤淳研究室の学生チームの作品「浮雲」が学生サマーセミナー2021で最優秀賞を受賞
(c) 「アラブ首長国連邦(UAE)館:Wetland」が金獅子賞を受賞
佐藤淳研究室、小渕祐介研究室が制作協力
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/award/4092.html
(d) 虫が動く速さと環境温度との関係
(e)「白血病関連遺伝子ASXL1」が造血幹細胞での膜なし構造体の形成に関与
(f) 霊長類におけるグルタミン酸の旨味の起源
― 体の大きな霊長類は旨味感覚で葉の苦さを克服
(g) ウイルスによって発症する白血病細胞の進化の過程の検出に成功
―成人T細胞白血病の進展メカニズムの特定と早期診断法の開発にむけて―
2. 新領域関連URL
(a) 東京大学柏キャンパス
(b) 新領域創成科学研究科
(c) 東京大学柏図書館
(d) 東大柏キャンパス-TX柏の葉キャンパス駅
シャトルバス運行案内 2017/04/01~2022/03/31
◆創域会ホームページ Souiki-kai website
◆東大校友会
◆UTokyo Alumni
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い。本人確認のため創域会メーリングリストに
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(b) 創域会に入会希望の方(新領域創成科学研究
科に在籍していた方でまだ入会されていない人)
はメールにて、氏名、修了年、専攻名、住所を明記
の上、創域会事務局までお申し込み下さい。