創域会会員 各位
こんにちは、創域会事務局です。
お盆をすぎて夜は過ごしやすくなってきました。猛暑の出口が見えてきたようでホッとします。
◇ 8月のリレーコラムは社会文化環境学専攻
◇◇ 福永真弓 准教授です
◇◇◇◇
幸運にも、6月からカリフォルニア州に滞在する機会をえた。暮らしはじめてみてすぐに、政治とグローバル経済の動向が町の隅々にまで浸透して、人びとが文字通りそれに動かされながら生きているのをまざまざと感じている。
もともとサンフランシスコの地価は高く、家賃も高い。しかしこの10年というもの、あがりはしても下がることがない。2011年に1ベッドルームの平均が2,176ドルだったのが、現在は3,334ドルである。好調なシリコンバレー経済がさらにこの動向を後押しし、海外からの投機マネーも流れ込んでいて、天井の高さはどんどん上がっていく一方である。
そこで人びとは周辺の町に家を求めて流れるわけだが、とはいえ、周辺の町の値上がりも同じような状況で、多少安いとはいえ上がり続けていることには変わりはない。
サンフランシスコまで車で20分ほどの立地にあるバークレーにも人は流れ込んでいる。家賃があがるのに(恐ろしいことに、契約書に「家賃は契約○○年のあいだ据え置き」とない限り、地価と平均家賃の上昇に合わせて家賃も年ごとに値上がりする)耐えきれなくなった人びとが、またさらに周辺に住処を求めて移動する。
そのような調子なので、行政による低所得者向けの低家賃住宅や、公的・民間のシェルターも場所を確保できなかったり、進むセグリゲーションから建設や施設開設にこぎつけなかったりするケースが増えている。その深刻さが改めて感じられたのは、バークレーのホームレスの数の増加である。およそ人口の1%にあたる人びとがホームレスであると言われていて(公式な数字だが移動もあるので正確には難しい)、市によると2009年からおよそ23%増加している。特に最近は、前述した事情からシェルターには入れない人、あるいは、仕事はあるが家賃が払えないので不定期にホームレスになっていて、シェルターに入らない選択をする人も増えている。
道路を歩いていると、段ボールに「仕事はあるが家がない!」と書いた人びとが目につく。特にここ2年はこのような「仕事はあるが家賃が払えない」層が家賃の上昇と共に拡大していると市当局はいう。
おまけにトランプ政権以降、人種間の緊張は日常の細部にまでおよんでいて、かつてよりもすみ分けの感覚が強くなってきている。バークレーはいまだ不法移民への寛容度やポリティカルコレクトネスを守ろうとする空気は強いが、それでも綻びはじょじょに広がっている。今まで人種のことを意識せずに付き合ってこれたお隣さんや大学時代の友人が、トランプ政権を支持したり、完全に支持しないまでも「この政権の方向性は正しいところがある」といったりするのを聞く。そうするとやっぱり考えざるをえない。「今までもあなたは、有色人種である私のことを、遠ざけたいと本音では思いながら暮らしていたのか?」
お隣さんや友人のことを信じ切れない自分も、今の政治に毒されているのかも、と苦く笑う有色人種の移民(世代もさまざま、不法かどうかもさまざま)との出会いも、この2ヶ月だけで10の指を軽く超えた。
そのような人種間の緊張は、不動産やホームレスの問題にまた違う緊張をもたらしている。対岸の火事、とのんきにながめている場合ではない。日本も今や、かくれ移民社会になっていて、各都市のなかに移民コミュニティが新しく生まれはじめている。セグリゲーションが文字通り、経済的な背景と日本社会の働き手が足りないという事情から生まれはじめている。どうしたら移民のいる社会にきちんとソフトランディングできるのか。日本社会にとっても、積極的な政策をできるタイミングは、おそらく今しかない。
好調な不動産開発から、今日も新しく工事の始まった通りを歩きながら、社会の機能不全が目の前で進行していくさまを観察しつつ、今日も太平洋の向こう側の自国のことを考える日々である。
◇
◇◇ リレーコラム,次回は国際協力学専攻
◇◇◇ 堀田昌英教授です
◇◇◇◇
今月の柏の葉のようすはコチラから↓
■柏の葉の四季
◇◇◇
≪ 創域会設立10周年記念創域会大会 in 本郷 ≫
新領域創成科学研究科の同窓会、創域会は設立10周年を迎えます。
10周年記念大会及び懇親会を東京大学ホームカミングデイに合わせて、
本郷にて開催する運びとなりました。
現在柏キャンパスで教鞭をとられている先生方は勿論、懐かしい先生方も
ご出席される予定です。お誘い合わせのうえ、是非ご参加下さい。
参加お申し込み
大会プログラム
★ 創域会設立10周年記念 創域会大会 ★
日時 : 10月20日(土) 15:00~18:30
会場 : ホテル機山館 http://kizankan.co.jp/access/access.html
≪ Souiki-kai 10th Anniversary Annual Meeting in Hongo ≫
We are pleased to inform you that Souiki-kai will hold an annual meeting
commemorating its 10th anniversary at Hotel Kizankan in Hongo.
Not only professors who teach in Kashiwa campus today but professors
from years ago as well will gather to celebrate this special occasion.
Detailed information will be announced by upcoming email.
You can check the program on our website as well.
★ Souiki-kai 10th Anniversary Annual Meeting and Alumni Gathering ★
date Saturday, October 20, 2018
time 15:00 ~ 18:30
venue Hotel Kizan-kan, Hongo http://kizankan.co.jp/access
◇◇◇
1.新領域創成科学研究科からのニュース
(a)ナノシート上に集積方遺伝子回路ナノチップを創成-細胞を精密に制御し,医療応用に期待-
(b)磁気渦の生成・消滅過程を100分の1秒単位で観測-J-PARC MLFのパルス中性子を用いたストロボ撮影に成功
(c)世界で最もテイノイズの祐希トランジスタの作製に成功-IoT社会に必須の安価で高感度なセンサーデバイスの実現に向け、大いなる一歩
(d)平成30年度学術研究活動支援事業(大学等の「復興知」を活用したフクシマイノベーション・コースト構想促進事業)の才知悪のお知ら
(e)柏キャンパスサイエンスキャンプ
(f)幻の粒子「マヨラナ粒子」の発見-トポロジカル量子コンピューターの実現に期待-
(g)女子中高生支援イベント「知の冒険にでかけよう!」10月27日(土)開催
(h)「先端オペランド計測技術シンポジウム」開催のお知らせ
2.人事公募
(a)東京大学新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 特任研究員募集
【応募期間: ~2018年08月21日】
(b)東京大学新領域創成科学研究科 自然環境学専攻 特任研究員募集
【応募期間: ~2018年08月21日】
(c)東京大学新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 特任研究員募集
【応募期間: ~2018年08月21日】
(d)東京大学新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 学術支援職員募集
【応募期間: ~2018年09月18日】
3.新領域関連URL
(a)東京大学柏キャンパス
http://www.kashiwa.u-tokyo.ac.jp/index.html
(b)新領域創成科学研究科
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/
(c)東京大学柏図書館
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/kashiwa/
【事務局からの連絡】
(a) 本メールマガジンで,ニュースを流したい同窓生はニュースを下記事務局宛にお送り下さい.本人確認のため,創域会メーリングリストに登録されているアドレスからお送り下さい.
(b) 創域会に入会希望の方(新領域創成科学研究科を卒業された方でまだ入会されていない人)はメールにて、氏名、修了年、専攻名、住所を明記の上、創域会事務局までお申し込み下さい。