創域会 東京大学大学院新領域創成科学研究科


◇◇ 12月のコラムは自然環境学専攻
◇◇◇  寺田徹講師です。

2016年10月22日に第10回創域会大会が開催されました。その頃は、正門のカツラ並木がちょうど色づき始めた時期で、穏やかな秋の訪れを感じていたのですが、先日11月15日、キャンパスを東西に貫くケヤキ並木が紅葉のピークを迎えたころ、柏キャンパスが雪に包まれました。東京都心では1962年以来54年ぶりといわれた、あの降雪です。都内の本郷キャンパスでは積もることはなかったようですが、柏では少し積もりました。翌日の朝、キャンパスに通勤してみると、環境棟前のオープンスペースに雪だるまがいくつかできていました。恐らく、修論シーズンで気がめいっている学生が、夜な夜な、気分転換にごろごろと作ったのでしょう・・・。
さて、雪は溶けて水となり、その一部はキャンパスの地中に浸透していきます。水に関する柏キャンパスの取り組みをひとつご紹介したいと思います。柏キャンパスの南東部、敷地を超えた道路の向こう側に森がありますが、その中に、こんぶくろ池と呼ばれる湧水が染み出してできた湿地帯があります。そこには台地上の湿地帯という独特の生態系があり、また手賀沼の源流にもあたることから、柏市が公園化して保全する方向で整備が進められています。実は柏キャンパスの敷地の多くは、この湧水の涵養域となっています。キャンパスの建設により人工舗装面が増えて、地中への雨水の涵養量が減ることが予想されました。そこで、キャンパスの南東部、こんぶくろの池に近い場所に貯水池をつくりました。この貯水池は、柏キャンパスの雨水排水系統の最下流部にあたり、地中に浸透しきれない雨水がここに溜まります。
そして時間をかけて地下へと浸透していくことで、道路をはさんで向こう側のこんぶくろ池の水量を保つことに貢献しているのです。
柏キャンパスは、まわりの自然と繋がっている、地域の大きな自然システムの一部です。こんぶくろ池の森の公園整備が終われば、柏の葉キャンパス駅から柏キャンパスまで、森の中を歩いて移動できるようになります(既に一部の整備が完了しています。計画はこちら:http://konbukuroike.com/yotei.html )。
修了されるとなかなかキャンパスを訪れる機会が少ないかもしれませんが、自然探訪がてら、ぜひ足を運ばれてはいかがでしょうか。

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