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◆◆ 2012年度環境システム学専攻博士課程修了
◆◆◆ 国立研究開発法人産業技術研究所 化学プロセス研究部門
◆◆◆◆ コンパクトシステムエンジニアリンググループ 藤井達也氏
「どうも伝わらないな」
リレーコラムを学内以外の人にも・・・ということでご指名を受けた。新領域創成科学研究科を修了して、その直後から国立研究開発法人で研究員となり、現在7年目を過ごしている。修了して間もないフレッシュな感じでもなく、はたまたベテランでもない、ある意味中間的な年代にいる一研究者の雑感である。
さて、冒頭の「」の感想は、異分野の人向けのプレゼンや異分野の方との連携へ向けた打ち合わせを行ったときによく抱く感想である。私が新領域で学生だった頃、「学融合」というキーワードがよく言われていたし、私が所属していた専攻(環境システム学専攻)には、従来の学部の枠にとらわれず、多様な研究室が集まっていた。そのような環境の中で過ごしていたので、多様な聴衆の前で研究発表をしたり、あるいは逆に「異分野」の研究発表を聴講したり、という機会に恵まれていたと思う。しかし、いざ仕事として連携のための打ち合わせ・見学対応などの時の相手の反応を見るにつけ、このような感想を抱くことが少なくない。研究について伝えること自体難しいことではあるのだが、ある程度は伝わってくれないとお互いにとって時間のムダになりかねない。また、異分野の方とうまくコミュニケーションをとることは、研究の発展のため(研究課題解決や研究資金を得る等)に大事な要素である。
・・・というわけで、一所懸命準備するのだが、必ずしもうまくいかない。そして、どうやったらうまくいくのかと自問自答する。
私見であるが、話が伝わるポイントとして以下の2つがある:
1.論理構成自体が整理されている
2.相手のバックグラウンドにマッチしている
1.は練っていけばいいものになるので、時間さえあれば完成度はあげられるが、2.を失敗すると、結局全く伝わらないということになってしまう。だが、この2.が難しい。相手のバックグラウンドを完全に把握することはできないので、そもそも難題であるが、少なくとも「相手」を想像し、「なるべく」その相手の背景を踏まえた説明のレベルに合わせる努力をすることが重要なのではないか。しかし、その相手も多種多様である。「異分野」といっても近い分野から遠い分野まで様々ある。さらに、研究者でない相手にも研究の内容をうまく伝えることが重要となる場面も多い。
いかに相手を想像できるか、その想像力にかかっており、その想像力は経験によって培われる・・・とすれば、日々の積み重ねが重要なのだろうと思う。しかし、研究者は視野が狭くなり、相手を「想像」することを忘れたり、それがおろそかになったりしがちである。しかし、折に触れて、相手を「想像」する、ある種の「おもいやり(おもてなし?)」の気持ちを持つことが、想像力を培うための経験を積み重ねるうえでも重要なのではないかと感じる。(そういう意味では、新領域は格好の経験を積む場だと改めて感じる。)
伝える側としても、伝えられる側としても「どうも伝わらないな」と感じた、国際会議の帰りにて