創域会 東京大学大学院新領域創成科学研究科


◇◇ 今月のコラムは先端生命科学専攻
◇◇◇  朽名夏麿特任准教授です。

私は大学3・4年の時期は本郷キャンパス理学部2号館にある 理学部生物学科におりました。学部の同級生の大半は、生物 学科に対応する大学院コースである大学院理学系研究科生 物科学専攻へと進学したのですが、当時の私は建物がまだ建 設中で真っさらの柏キャンパスという、自由を予想させる環境 に魅かれ「エイヤッ」と新領域に飛び込みました(…とはいって も入学当初は本郷キャンパス内で間借りのような状態でした)。 修士1年の夏に研究室は柏キャンパス生命棟に引っ越し、そ こから柏キャンパスでの研究生活が始まったわけです。

それから15年目の秋を迎える今、ちょうど月末には柏キャンパ スの一般公開があります。私にとって柏の思い出を形作るイ ベントとしては一般公開が何よりも印象的です。研究分野が細 分化して、隣の建物の研究は何が面白いものなのかわからない、 というような状況がそこかしこに起きていますが、一般公開では 各研究室を自由に見学して周り、研究室側も非常にわかりやす い説明で研究の魅力を語ってくれる、学融合を涵養するために 重要な二日間です。

さらに周囲の市やあるいは遠路からいらっしゃる方々も大勢目 にします。例えば既に定年生活に入っているような高齢のお客 さんに研究紹介をいたしますと、長い人生を歩み多様な価値観 を抱かれているであろう方に、自分にとっての「研究」をどう説明 すべきなのだろうか、という根源的な問いに直面することもしば しばあります。この一般公開での研究紹介というのは、研究室セ ミナー、論文の査読、修士・博士の審査会とはまた別の、重要な 場といえましょう。

なお一般公開2日目には創域会大会(同窓会)が開催されます。 今回創域会は、その飛躍をかけて結成以来の最も大きな判断を 私たち会員自身の手で行う場になるのではないかと言われてお ります。ぜひ参加し、その場の空気を共有することをお薦めいた します。

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