◆◆  新領域創成科学研究科
◆◆◆  先端生命科学専攻  鈴木雅京 准教授
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左から四番目が鈴木雅京准教授

 

 千葉県はサバイバルゲーム(サバゲ)フィールドの数が日本一多い県であることを知る人は少ないだろう。ここ柏キャンパスの近くにも、自転車で15分ほどの距離にサバゲフィールドが2カ所ある。
 私は高校生の頃からサバゲに興味を抱いていた。しかし、当時のサバゲ人口は今と比べてはるかに少なく、フィールドも数えるほどしかなかった。だから、やっとの思いでエアガンを購入しても、自分の部屋の中で射撃を楽しむことしかできなかった。そんなことをしていてもフラストレーションが溜まるだけで、いつしかサバゲへの情熱は消えてしまった。
 あれから30年の月日が経ち、ここ柏キャンパスで教員を務めることになった。着任して間もなく、どういうわけか学生から「先生はサバゲに興味ありますか?」と声を掛けられた。彼らは、美しく黒光りする電動ガンを手にしていた。それを見た途端、心の奥底で眠っていたサバゲへの情熱に再び火がついた。その後、(妻を説得して)サバゲの装備を一揃え購入し、私はついに念願のフィールドデビューを果たした。そこかしこから聞こえる稲妻のような電動ガンの射撃音、辺りを飛び交うbb弾、そのうちのいくつかは私が身を隠す壁板に当たり、激しい音を立てて跳弾する。心臓が胸から飛び出しそうなほど拍動し、手が震える。今ではすっかりゲームに慣れてしまったので、あの頃のような興奮を覚えることはなくなったが、その分ゲームがつまらなくなったと言えるかも知れない。
 サバゲを通じて様々な人々と出会うことができた。大手航空会社の機長、整体師、バーのマスター、医師、飲食店のオーナー、塾講師、消防士、自動車会社のエンジニアなど、研究室に籠もっていては出会うことのない多種多様な人々と交友関係にある。彼らから様々なことを学び、私も彼らに様々なことを教えてきた。私の専門は昆虫なので、フィールドに虫が現れると「先生、これは蛾ですか」とか「これは触っても大丈夫なやつですか」などとよく尋ねられる。親に注意されてもアリを潰すことを止めない少年に向かって、もしこの地球上からアリが居なくなったら、どれだけ恐ろしいことが起こるかを説明したこともある(保護者の方はドン引きしていたが)。
 ここ柏キャンパスは大学院大学である。故に大学院生は様々な地域の大学出身者からなる多様性あふれる集団だ。この多様性を活かすことができて初めて、大学院大学の真価が発揮できると思う。だから私は、サバゲを通して多様な人々との交流を楽しむスキルに一層磨きを掛けなければと思う。そうして培ったスキルを活かして多様性あふれる学生達と向き合い、大学院大学だからこそできる研究をここ柏キャンパスから発信できたなら、これまでサバゲの装備に費やした40万円など安いものである。