♦ 2008年度物質系専攻修士修了
♦♦ TeraWatt Technology Inc.
♦♦♦ 代表取締役CEO 緒方健氏
「Be brutally honest about what you love and challenge」
ここ十数年、幸い世界中の沢山の人に触れる機会に恵まれた。そして感じたことがある、
「ストリートファイトの場数を多く踏み、ストリートスマートを蓄積できる人間が結局は一番強い」
東大だ、ハーバードだ、博士だ、官僚だ、外銀・コンサル・商社だ、一部上場企業だ、そんな旧来の「格」や「型」は、あらゆるコンセプトが1週間で実装できる事業分野では急速に意味を失いつつある。あなたの素晴らしい「格」や「型」の上に成り立つアイデアに事業価値はない事が多い。ひたすら繰り返される実装と失敗から収束してゆく本質とスピードにこそ価値はある。つまり早く失敗を繰り返しその跳ね返りを増幅できる人間こそが強い。
あなたが好きな事をやっているかどうかはもっと重要だと思う。「好き」は超伝導と同じく非常に効率的だ。なぜならゾーンに入るまでの過程にエネルギーを割く必要が無く、無抵抗で事が進む。所謂、学歴や社歴を自尊心の拠り所にする「デスクエリート」はロジカルに先を読む。例えばスタートアップに関わるのであればそのリスク分析をする。ただ、その分析はほぼ無意味だと思う。なぜなら、的は銃口の動きに連動し動き、結局は実装と失敗でしか的の射撃精度は上がらないからだ。デスクエリートはスタートアップへの根拠のない恐怖心を持っている。ただ、それも幻想だ。あらゆる線形・非線形の演算処理業務が機械学習により陳腐化する今後の世界においては、目的関数が不明瞭で確率変数の不確実性の高い、人類に残されたユートピアであるスタートアップに関わらないことの方が個々人にとってのリスクである。また、何より日本は「蛇口から飲める水」と「綺麗な空気」と「医療と治安の担保」と言った、隠れた希少価値がある事を忘れてはいけない。上位先進国でこれらに対して格安にアクセスできる国は少ない。つまり極論、日本で スタートアップの世界に入るリスクはあらゆる面で実は極めて低い。要はそう腹をくくれるか、尻に火がつけれるかどうか、という非常に単純な問こそが自分が進む道への答えだ。
「最初から逃げ道を作る」
「相手の人格のせいにする」
「挑戦できないことを環境や家族や社会体裁に結ぶ」
これらは全てプライドという無意味な生物的自己防衛が作り出す、偽りの自己正当化だ。あなたが デスクエリートならその機能は更に強固になっていると自覚すべきで、硬直化を起こし手遅れになる前に直ちに世界に出て沢山のストリートファイトを行うべきだと思う。世界には様々な戦い方がある。自分の中で積み上げた自身と自尊心がガラガラと音を立てて崩れ落ちる感覚を味わえる事が出来ればそれは良いスタートを切ったサインだ。その様な局所的な自尊心の崩壊の中で、批判と批評を混同し全てをアンチボックスに投げ込むことで偽りの「精神的安定」を手に入れるでは無く、それらの中にあるエッセンスを自ずからエグり出し真正面から自分の細胞に吸収させる事ができればポジティブスパイラルまでもう少しだ。精神的に削られそうになる事もあるが、その先に光が見えれば耐え凌ぐ事はできる。そうした先にポジティブなスパイラルが待っている。心配しなくても必ず溢れんばかりの光が差し込む出口はある。私は個人的にこの様なポジティブなマインドセットループと学歴・社歴等の 「格」や「型」 との相関はそれほど強くは無いと感じている。
“Don’t care if you even graduated high school……Achievements matter”
~Elon Musk~
だからマスク氏は正しい事を言っていると思う。「格」や「型」は関係ない。 具体的に何に挑戦し何を達成してきたかが重要だ。その様な達成は挑戦的環境に身を投げる事でしか得られない。結局、人は尻に火がつかないと動かないし、狂気的でないと世界を変える事なんてできない。また、せっかくだからより多くの人を幸せにするために「世界を変えるアジェンダ(global agenda)」を設定しよう。そして、周囲の目を気にせず沢山失敗し、何より健康に努めよう。小さな失敗は先行性の確保と同義だし、人が経験しないような大きな失敗をしても、あなたは更に強くなるだけだ。また、人はあなたが考える程、 あなた自身やあなたの成功・失敗に興味はない。だから好きな事をやったほうが良い。そして何より肉体的・精神的に健康で有り続ける事は最上級のスキルだという点を噛み締めてほしい。
物事は意外とシンプルなのかもしれない。さぁ、世界のストリートに出て一緒にジャズを奏で、世界をより良く変えよう。